【俳優】石井一孝の魅力に迫る!宝物を両手に抱えた30周年、Go Rock!な2024年

ミュージカル俳優でシンガーソングライター・石井一孝さんの人物像を語るシリーズ第4弾にして最終回。ここでは2022年に向かえた30周年記念コンサートの模様、2024年の春に挑んだ新しい挑戦を振り返り、今後の予定と展望も。

ぜひ最後までお付き合いいただき、石井さんの活動にご興味が湧いたら次の作品やコンサートへもどうぞ足をお運びください!

石井一孝30周年記念コンサート

ミュージカルの宝物たち

2022年9月、ミュージカル俳優デビュー30周年記念コンサートを開催。2日間3回にわたる公演だった。ゲストには岡幸二郎さん、岡田浩暉さん、シルビア・グラブさん、姿月あさとさん、坂元健児さん。

題して、『Musical Treasures』。ミュージカルという仕事で得た宝物たちをギュッと集めたコンサートだった。

『ミス・サイゴン』『レ・ミゼラブル』『蜘蛛女のキス』『マイ・フェア・レディ』『愛と青春の宝塚』『エリザベート』『RENT』などなどなど。

大切な友人の方々との思い出深い作品を再現したり、出演はしていないが何度も歌ってきたお気に入り曲を連打。様々なミュージカル曲を緩急自在に歌いつつ、ゲストの方々と抱腹絶倒トークを繰り広げた。

ミュージカル界2大バズーカボイスと呼ばれるゲストの坂元さんと石井さんで、デシベル計を使った声デカ選手権。
「石井さんと出会わなければ僕はミュージカル界から消えていた」という岡田さん。
「石井さんを尊敬してるんですよ。黙ってたら素敵ですよ~」と爆笑発言をする姿月さん。
初めてのディナーショーが石井さんのゲストとしての出演だったというシルビアさん。
そして30年来の朋友である岡さんとお料理話。

さらには、石井さん:「俺と出会った時の印象覚えてる?」岡さん:「わっかんない。ぜんっぜん覚えてない」と即答…。

特筆すべきは『ミス・サイゴン』からクリスの石井さん、エレンのシルビアさん、ジョンの岡さんがホテルでやり合うシーン「The Confrontation」。クリスがエレンに隠し通してきた辛い過去の暴露。アメリカ人の正義感の虚しさと、残酷な決断。

本番を見ていなくてもストーリーを知っていれば涙なしには見られない。

いつか見た青い空

大切な目玉がもう一つ。震災やパンデミックや戦争を受け、舞台人の自分に何ができるかを考えた新曲を発表。

作曲とアレンジは石井さん。作詞は『三銃士』の訳詞も手掛け、ポップスのヒット曲は数知れない作詞家の竜真知子さん。作曲する時から5人のゲストと石井さんがどのパートを歌うかを構想し、それぞれの声を活かした作りになっている。

タイトルは「いつか見た青い空」。

初めて歌を聞いたとき、悲惨なニュースがはっきりと思い出された。ささやかな幸せを楽しむ日常が砂のように消え去り、青い空が爆撃の炎と噴煙に覆われた街の映像が。

あふれ出てくる涙を留めることができなかった。これは筆者の体験だが、どんな景色が浮かぶかは人それぞれだろうと思う。しかし、そんな突然の災厄に襲われることは決して他人事ではない。泣いている人々の心に精一杯寄り添おうとしたのが、この曲。

当たり前だったはずの幸せが奪われても、今が辛い現実に閉ざされていても、青い空は必ずよみがえる。夢見た空に向かって一歩一歩進もう。自分に何ができるかを問い続けて。

抱き締めるような力強く優しいメッセージと、癒しの音とハーモニー。世界中に届いてほしい。

コンサートはDVD化されているので永久保存版。また、「いつか見た青い空」を始め「Seasons of Love」や「カフェ・ソング」など、DVDに収録できなかったミュージカル曲はYouTubeで視聴できるので是非見てほしい。

2024年のお仕事と今後の展望

希望をつなぐ「39(サンキュー)ミュージカル・ライブ」

2024年1月には日本から世界に撃って出るミュージカル『イザボー』初演キャストとなり、春からはコンサート三昧の日々を送っている。

2024年は56歳。Go Rockの精神で挑むと語っていたが、まあ初っ端から飛ばす飛ばす(笑)。

3月なんて毎週どこかでコンサートを行っていたので、さぞかし多忙を極めたことだろう。その最初に「どうだ!」と押し出したのが、「39(サンキュー)ミュージカル・ライブ」。

値上げ地獄に真正面から対抗する、入場料が3900円のコンサート。30年以上も愛してやまないミュージカルと、ミュージカルを愛してくれるお客様に「サンキュー」を伝える意味も込められている。

ウソでしょってくらい狭~い会場で、生バンドではなく録音を使用してコストを抑えてはいたが、8000円はくだらない価値の歌声と名曲の数々を堪能できた。本当は草月ホールでやるべき上質なコンサートなのに、なんてもったいない。

しかしご本人は今後も日本各地で開催したいとか。それは色んな意味で希望かもしれない。

帝国劇場の『ムーラン・ルージュ』やシアターオーブの『天使にラブ・ソングを』なんて17500円、赤坂ACTの『ハリー・ポッターと呪いの子』に至っては19000円。

なめてやがる。ばかばかしいほど高いチケット代のせいでミュージカルに飢えるファンにとっても、ミュージカル入門したいのに劇場に行く気になれない人にとっても、3900円は有難い。これだけ気軽なお値段だから、宣伝が上手くいけば潜在顧客も獲得できる可能性はある。

「39ミュージカル・ライブ」感想はこちらに詳述しました。どうぞお楽しみください。

逗子 Live Inclusive ~音楽は、最初からインクルーシブだ~

続いて「Live Inclusive」。障がいを持つ音楽家、ミュージカル俳優、演奏家の皆様が、ジャンルの垣根を越えてコラボするコンサートに企画段階から携わった。構成・演出を手掛け、バンドメンバーの一人一人に至るまで舞台で輝くコンサートを作り上げた。

このコンサートの目玉の一つとして、『アラジン』でジャスミン姫を演じた麻生かほりさんと共演。新しい世界に目を向けるチャンスを歌う、元祖「ホール・ニュー・ワールド」。

さらに片腕のギタリスト輝彦さんと、ミュージカル俳優仲間の中井智彦さんとコラボ。コロナ禍で舞台公演が閉鎖される中で願掛けするように歌い続けてきたオリジナル曲「幕が上がれば」を、噛み締めるように歌った。

ほかにも、女性3人のコラボで「パート・オブ・ユア・ワールド」、演奏家の皆様の腕が鳴る「ソーラン節」のラテン風、視覚障害を持つピアニストと声楽家による「カルメン」など。このジャンルの広さだけでも、なんと刺激の多いコンサート。この春で最も大きな挑戦と言えたのではないだろうか。

Go Rockな56歳!

さらに丸の内のCotton Clubデビュー。麻生かほりさんをゲストに、ディズニー音楽を歌いまくるコンサートを。

『アラジン』1~3とブロードウェイ版で歌われているアラジン&ジャスミンのデュエットをコンプリート。『美女と野獣』や『ラプンツェル』なども飛び出す華やかさ。アラン・メンケンの音楽をお洒落な空間で、温かい空気の中で楽しめるコンサートだった。

そしてゴールデンウィークには日本のトップスケーターが集うアイスショー「プリンス・アイス・ワールド」に歌い手としてゲスト出演。

GWが明けるとすぐに新企画トーク&ライヴ「恋するステージ」の第1回目開催。元トップアイドルで現在は俳優・演出家の錦織一清さんをゲストに招く。

5月と6月には大阪と横浜のビルボードライブでコンサート。

7~8月には坂東玉三郎さんによる新作舞台『星列車で行こう』に出演予定。ここでも多くの楽曲を歌うとのこと。

一体いくつ新しい挑戦をすれば気が済むのだ?この人の頭の中はどうなっているのだろう?そう思えるくらい貪欲に活動している2024年。Go Rockの目標通りに、ロックな日々を過ごしている。

人は年齢を重ねるにつれて新しい変化が苦手になると聞くが、56歳にしてこの精神の若さは尊敬に値する。まだまだ変化を止めない、進化を貪欲に求めていくだろう。本当に楽しみだ。

8月以降の舞台出演の予定は出ていないから、もしかしてまたコンサートがあるかな?筆者個人が石井さんのSNSやコンサートで見聞したことをもとに予測を立てると、Mon STARSは復活するのかな?

一番期待したいのはオリジナル・ミュージカル2作目だが、制作はだいぶ時間がかかるものだ。じっくりと納得のいく作品を生み出してほしい。

「39ミュージカル・ライヴ」もまたやってほしい。東京の別の場所でもう1回、あとは名古屋と九州、東北?本州を制覇したら北海道と沖縄、海外進出もどうだ。Kazutaka Rocks Victoria(ロンドンのヴィクトリアはウェストエンドの一部)なんてどや?

本ブログで石井一孝さんに興味を持った方、応援したいと思った方、今後ともよろしくお願いいたします!!

石井一孝さんの人物像に迫る過去の記事もこちらのリンクからどうぞ。

第1回(少年期、青年期)第2回(20~30代)第3回(40代)

コメント

タイトルとURLをコピーしました