2024年冬~2025年にかけて帝劇クロージング公演を飾る『レ・ミゼラブル』。
高すぎるチケット代にもかかわらず東京公演はすでに完売だって…それもそのはず、キャスト陣営がすごいことになっている。これだけで胸が高まるし、俳優さんのファンにも作品ファンにもたまらない。
この記事では、プリンシパルキャストの中でも私が個人的に大注目と思っている皆様を独断と偏見でご紹介します。
読者の方々のイチ押しはいらっしゃるでしょうか?初めて観る俳優さんがこの中にいらっしゃいましたら、ぜひ予習にお役立てください。
飯田洋輔/ジャン・ヴァルジャン
吉原光夫さんと佐藤隆紀さんはお馴染みだろう。吉原さんはあのパワフルすぎる低い声と怖い人相(ごめんなさい笑)で、最年少でジャン・ヴァルジャン役を勝ち取った。佐藤さんは東京藝術大学で鍛え上げた、1秒聞けばビックリ、5秒も聞けばトロける美声。
2024年のキャスト表で「なぬっ!」と思ったのが、飯田洋輔さん。おいおいおい、ビーストじゃないか。グロールタイガーじゃないか。劇団四季は?辞めたの!?恥ずかしながら今回初めて知った。
興味本位で制作発表会のValjean’s Soliloquyと聴いたところ…な、なんだこの飢えた獣のような歌声は。すでに鬼気迫る表情。石になった心を叩き割られたような衝撃が走っているではないか。
すごい。これは本当にすごい。飯田さんは劇団四季の退団後に行った初コンサートも即時完売だったらしいが、大いに納得。飯田さんのヴァルジャンはきっと歴史に残る。
小野田龍之介/ジャヴェール
小野田龍之介さんといえば、私が拝見したのはミュージカル俳優の男性6人が歌って踊って演じて暴れまくった伝説のコンサートThe Gentlemen’sでのゲスト出演。30代前半の、脂ののった艶めくハイトーンに感激したばかりだ。
ジャヴェールのお稽古に被ったため、出番の少ないゲスト枠でしか出られなかったとのこと。なのに次々とアイデアを繰り出してショーを盛り上げてくださったとのこと。うん、抜群にオモロかった。
小野田さんのご経歴はすさまじく、『レミゼ』はアンジョルラス出身。ほかに『ミス・サイゴン』ではクリス。うわ、あの声でWhy God Why聴きたかった!!
『マリー・アントワネット』ではオルレアン公、『ピーターパン』ではフック船長と、豪快な悪役もやってらっしゃるじゃないか。ただの王子様とかヒーローだけではいられない、百戦錬磨のカメレオン俳優さんとお見受けした。
小野田さんならStarsや革命の学生たちに紛れ込むOne Day Moreなど、精悍で男らしい歌声がきっと客席をキャーキャー言わせるに違いない。ご自身のコンサートでStarsはすでに披露済みらしい。
となると、ジャヴェール最後の場面が最大の期待どころだ。爽やかな印象が強い小野田さんが、生きる意味を失ってセーヌ川に身を投げる刑事をどうやって魅せるのか。楽しみでならない。
昆夏美、生田絵梨花、木下晴香/ファンティーヌ
ちょっと待って。ファンティーヌが3人とも豪華すぎる。ミュージカル界では言わずと知れた歌姫たち。しかも3人ともこの公演が初ファンティーヌだ。
よく揃ったな…。正直、全員観たい。しかし、どうしてもチケットを1枚しか買えないとしたら昆夏美さんを選ぶ。
昆さんはフレンチ・ミュージカル『ロミオジュリエット』の日本初演時、小池修一郎先生に見出された。そりゃそうよね、という歌唱力。お声は抜群にハイトーンの響きが良い。
個人的には『シークレット・ガーデン』のマーサ、『マリー・アントワネット』のマルグリットあたりの印象が強いが、幸いにも『レミゼ』のエポニーヌも拝見できた。泣いた…切なすぎて号泣したのが良い思い出。
『ミス・サイゴン』のキムも殿堂入りし、いよいよファンティーヌになられるのね。工場から追い出され、路頭に迷って歌うI Dreamed A Dreamが一番楽しみ。
曲としてはファンティーヌのか弱さと惨めさが前面に押し出され、幸せだった若き日と落ちぶれた今を思って泣く。でも昆さんはきっとそれだけではないと思う。
落ちるところまで落ちて、残されたものはコゼットだけ。娘のために何をしようと生きてやる…そんな眼をしているのが想像できる。
昆さんのマーサを拝見した身としては、40歳くらいになったらマダム・テナルディエでコミカルな悪役も合いそう♪
屋比久知奈/エポニーヌ
エポニーヌは新しいお二方ももちろん素晴らしいご経歴をお持ち。
清水美依紗さんはディズニー・プリンセスの名曲を集めた音楽アルバム「アルティメット・プリンセス・セレブレーション」の参加組。ルミーナさんは韓国ですでにエポニーヌ経験済み。お二方とも期待の新人?いや、若手スターとしてのキャリアを盤石にするといったところか。
しかし私はやっぱり、2019年からエポニーヌを演じ続けている屋比久知奈さんを推したい。
『天使にラブ・ソングを』メアリー・ロバート役で彼女の歌声に度肝を抜かれ、『Grease』のサンディでも純粋なお嬢から変貌するラストへのカタストロフィに仰け反った。『ミス・サイゴン』のキム観たいなあ~(泣)。
沖縄出身という背景を持つ屋比久さんの声は、太陽へとまっすぐに伸びるハイビスカスのよう。器が大きくて華やかで、心がパッと明るくなる。
エポニーヌのOn My Ownは失恋のどん底にいる歌なので、屋比久さんの第一印象とはかけ離れた演技になるが、そこが俳優さんの面白さ。さらに、この曲はハイトーンがすごい。屋比久さんの最大の魅力も、「どこまで出るの!?」と思えるほど高い技術のハイトーン。
宿屋の娘からホームレスへと転落し、ずっと追いかけてきた片思いの恋人を、ポッと出の金持ちのお嬢でしかも幼少時にイジメてきた因縁の相手に奪われ、それでも愛ゆえに手足が動いてしまった結果、「やってらんない」と呟きが聞こえるような惨めな最期を迎えるエポニーヌ。
帝劇クロージングの掉尾を飾るエポニーヌは、屋比久さんであってほしい。彼女に客席全員泣かされて終わりたい。
小林唯/アンジョルラス
来たっ!待ってました!小林唯さんは絶対アンジョルラスになると思ってた!
控えめに言って凄腕。劇団四季に10年所属し、『美女と野獣』ビースト、『キャッツ』スキンブルシャンクスや『アラジン』タイトルロールと、歌もダンスもドンと来いな実力派俳優さんだ。
私にとって小林さんと言えば『この世界の片隅に』の水原さん、淡々とした台詞回しの中に揺るぎない信念と日本人の本当の意味で古き良き心意気が感じ取れた。泣いたぁ。
彼のアンジョルラスもきっとカッコイイぞ。アンジョルラスは炎の男だが、仲間思いだけでなく街の人々の気持ちをしっかり考えて受けとめるリーダー。刹那的な生き方をしているとも捉えられかねないが、小林さんなら少しずつ少しずつ先のことを考えていそうな気がする。
勝ったら次の行動はこうする、でも負けた時は潔く、命乞いなどしない…なんて計画性があるリーダーが想像できる。
加藤梨里香/コゼット
こっちも来たあーー待ってました!
加藤梨里香さんは『CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~』で素敵なジプシー娘を拝見したが、子役の頃からご経験豊富な方。なんと私の大好きな『天翔ける風に』2023年版で三条智を演じている。可憐だが盲目的に人に従うことは絶対にしない、芯の強い演技を必要とする。
大いに納得だ。加藤さん演じるコゼットの歌声ならマリウスだってイチコロよ♪
樹里咲穂/マダム・テナルディエ
あれまあ樹里咲穂様!!ジュリぴょんではありませぬか!
元宝塚男役のスター。存在感が華やかで、とにかく歌がうますぎてトップを食うくらいだった。なんでトップになれなかったのか本当に理解不能。
個人的には彼女が宝塚の専科にいらした時にかなりの作品を拝見した。ほとんどテレビ放映だけれど、とにかく歌がすごい方&オモロい方と思っていた。関西のご出身とのことでコメディの台詞でアドリブが許されている時は弾けまくる。ダジャレやボケノリツッコミもお手の物。
印象が強いのは『ミレニアム・チャレンジャー』(ショー)で「さくらさくら」のジャズアレンジを踊ったシーンと九尾の狐、『ミケランジェロ』の盗賊役、『ファントム』のキャリエール。どれもこれもカッコよくって、10代だった私はヒイヒイ言った。
退団後は『ファントム』でカルロッタを。あのファルセット凄かったなぁ(※私はガラコンサートで聞くチャンスを得ただけだが流石の迫力だった)。
唯一の悪役で笑い取りのテナルディエ夫婦。樹里さんがマダムならきっとダンナと丁々発止のやり取りや、「宴会乞食」のアドリブなんかも楽しめるだろう。
いかがでしたでしょうか?この記事から漏れた俳優さんとファンの皆様ごめんなさい。
マリウスの三浦宏規さんは今を時めくミュージカル界のプリンス。他のお二方はマリウス新人で過去の出演作もほとんどないので、ルーキーと言ったところか。やっぱり千秋楽を飾るのは三浦さんだろう。
テナルディエは安定の皆様。駒田さんは2003年版のCDで散々聞かせていただいたが、もう大好き。六角精児さんのお歌は聞いたことがないが舞台キャリアの長さは言わずもがな。斎藤司さんなんて、テレビで歌をお聞きして素晴らしさに腰を抜かした。
チケットをゲットできた皆様、これから大阪はじめ全国公演を狙っている皆様、お目に留まる俳優さんがいらっしゃいましたか?楽しみですね♪
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